離婚を理由に自宅売却する場合のポイント1
2023年06月24日
マイホームを売却するきっかけのひとつに、離婚という場合があります。
この記事を読んでいる方は、
・離婚を検討中で、不動産を売却しようか悩んでいる
・持ち家がある場合の財産分与がどうなるのか知りたい
・住宅ローンの残りがあっても自宅を売却できるのか知りたい
など、さまざまな疑問があると思います。
今回は、離婚を理由とした不動産売却をテーマに、自宅売却の手続きや、住宅ローンが残っている場合の対処法、財産分与の方法、不動産の名義が共有の場合の注意点などを中心に取り上げていきます。
||現代社会においての離婚の増加||
2019年度の厚生労働省の調査によると、離婚件数は約20万9000件。一方、婚姻件数は約59万9000件なので、3組に1組の夫婦が離婚している計算になります。
1980年と比較すると、約1.5倍に増加しており、離婚がとても身近なものになっています。
||離婚で揉める事が多い財産分与||
離婚をする際には、夫婦間で財産分与や慰謝料、養育費などの取り決めをします。
その中でも、財産分与に関しては、夫婦間で共有されていない隠している財産や財産分与の割合などでトラブルになることが多いため、注意が必要です。
1.財産分与とは
結婚生活中に夫婦で協力して築いた資産を、離婚の時にそれぞれの貢献度に応じて配分することを財産分与と言います。
財産分与は法律で定められていて、離婚の際には夫婦の相手方に対して、財産の分与を請求できます。
主に3つに分けられて、離婚の理由や経済的に自立できるかなどの観点によって、財産分与の配分が変わります。
(1)清算的財産分与
基本となる考えです。清算的財産分与とは、離婚原因に関わらず、夫婦が結婚生活中に共同で築き上げた財産を夫婦の共有財産とみなすことで、離婚時に清算するものです。
また、夫婦の相手方が結婚前から持っていた財産や、結婚後に相続や贈与などにより得た財産については夫婦が共同で築き上げた財産ではないため、財産分与の対象にはなりません。
(2)扶養的財産分与
夫婦の相手方に対する扶養を目的とした財産分与のことです。
一般的に離婚によって経済的に弱い立場に置かれる配偶者(専業主婦など)が離婚後も経済的に自立できるように考慮して財産分与が行われることになります。
扶養的財産分与が認められるためには、経済的に弱い立場に置かれる配偶者に扶養が必要となることと、扶養する側に扶養するだけの経済的余力があることが条件となります。
(3)慰謝料的財産分与
慰謝料の要素を含んだ財産分与のことを言います。例えば夫婦の一方に非があって離婚した場合に被害者側の精神的な苦痛を賠償する目的があります。離婚するにあたり夫婦のどちらにも責任がなく慰謝料が発生しない場合は、慰謝料的財産分与には該当しません。
2.財産分与の対象になるもの
下記のものが財産分与の対象になります。
・現金
・預貯金
・退職金
・年金
・生命保険
・不動産
・美術品
・株や国債などの有価証券
・マイホームの住宅ローン
・自動車(ローンも含む)
プラスの財産だけでなく、住宅ローンや自動車ローンなどのマイナス資産も財産分与の対象になります。
財産分与の対象にならないものとしては、先に記述したように「結婚後に夫婦で築き上げた財産」でないものです。
例えば、現金や不動産、自動車なども、夫婦の一方が結婚前に所有していたものであれば、財産分与の対象外です。
3.不動産を財産分与する方法
ここでは不動産を財産分与することにスポットをあててご紹介します。
不動産の価値を算出する方法は、複雑で分かりにくいため財産分与のトラブルになる可能性があります。
方法としては大きく2つあります。
(1)不動産の価値を算出し、同額を財産分与する
この方法は、不動産を売却せず、離婚後も引き続き家に住み続けたい方におすすめです。
はじめに不動産の価値を算出し、夫婦の一方は不動産を、もう一方は不動産の価値と同額の財産を受け取ることで実質的に不動産を折半するのと同じ効果が得られる方法です。
注意点は、不動産の価値を算出するにあたり、夫婦双方が納得するまで交渉する点です。そのため時間がかかる場合があります。夫婦の共有名義になっている場合は、単独の名義に変更する必要があります。
(2)不動産の売却資金を配分する
もう一つが、不動産を売却して、売却で得た資金を夫婦間で配分する方法です。
不動産を現金化することで財産分与の配分が明確になり、分けやすくなるというメリットがあります。離婚後に夫婦のどちらもその不動産に住む予定がない場合におすすめです。
デメリットとしては、売却活動の手間・費用と、ある程度の時間が発生することです。
次回は、離婚を理由に不動産を売却するときの手順について紹介していきます。