2023年度税制改正のポイント 1
2023年01月21日
2023年度税制改正大綱についてまとめました。
知識として持っておけば、思いがけない課税に混乱することもなく、スムーズに税金の計算や対策ができます。
2回に渡り、2023年度の税制改正についてお伝えしていきます。
・相続税と贈与税の一体課税の改正
・土地オーナー向け(インボイス制度の軽減措置、マンションの相続評価の検討など)
今回は上記の2つに大枠を絞りました。
ぜひ最後までご覧ください。
||生前贈与加算||
適用時期:2024年1月1日から
これまでは生前贈与をしてから3年以内に相続が発生した場合、その贈与分が相続財産に加算されて相続税の対象となっていました。
これが「生前贈与加算」です。
この生前贈与加算の期間が、3年以内から「7年以内」に延長されます。
加算される贈与財産には非課税となる年間110万円も含まれます。
ただし軽減措置としては、延長された4年間の贈与については総額100万円まで控除され、相続財産には加算されません。
||相続時精算課税制度に毎年110万円の基礎控除||
適用時期:2024年1月1日から
生前贈与には、上記の「暦年贈与」と、「相続時精算課税制度」があります。
この制度は贈与を受けたときに2500万円までは贈与税がかかりません。
相続が発生してから贈与分を、相続財産と合計し、一括納税します。
2500万円分を超えた分に関しては、一律20%の贈与税が課税され、相続時には相続税と相殺されます。
この制度は、暦年贈与との併用ができず、一度選択したら取り消すことはできません。
2023年度は、この相続時精算課税制度に関して、2500万円とは別に毎年110万円の基礎控除が加わります。
この基礎控除分は、相続が発生しても相続財産には加算されません。
暦年贈与課税のように7年以内の生前贈与加算がないため、非課税で110万円の贈与が可能です。
今までは相続時精算課税制度は節税対策としては活用しにくいということがありましたが、基礎控除を活用した対策として選択しやすくなります。
||電子取引におけるデータ保存義務化の緩和措置||
電子取引とは、例えばインターネットで商品を購入し請求書をPDF化して添付されてきたりする時の場合です。
電子帳簿保存法の改正に伴い、電子取引した場合は紙ではなく、データでの保存が義務化される予定でしたが、賃貸オーナーや小規模事業者は紙で管理しているケースが多く、紙の領収書とデータの領収書を別々に保存したり管理するのが大変とされたため、下記の場合は紙保存でも良しとされました。
・データ保存ができないことに相当の理由があること
・データのダウンロードの求めにも応じることが可能
||教育資金、結婚や子育て資金の一括贈与制度について||
子や孫に教育資金として上限1500万円まで、結婚や子育て資金として、上限1000万円を非課税で一括贈与できる特例措置値があります。
この措置が延長されます。
教育資金一括贈与は3年間の延長で2026年3月31日まで、結婚や子育て資金は2年間の延長で2025年3月31日までです。
また、父母や祖父母などから住宅取得資金の贈与を受けた場合、贈与税が非課税となります。
非課税枠の上限枠は省エネ住宅などの新築住宅で1000万円、それ以外の新築住宅は500万円です。
※2023年12月31日までの贈与です。
||インボイス制度、免税業者への負担軽減措置||
インボイス制度とは、消費税に関する制度です。
居住用の賃貸住宅の場合は消費税が非課税のため関係ありませんが、店舗、事務所、駐車場など賃料に消費税をかけている場合は影響が出ます。
消費税の納付額の計算は、売上に伴って預かった消費税から、仕入れに伴い支払った消費税を差し引いて納税します。
インボイス制度では、仕入れ業者がインボイス発行事業者でない場合、仕入れ医に伴った消費税を差し引けません。
店舗や事務所のテナントにとっては、賃料は仕入れとなります。
オーナーがインボイス発行事業者でないと、テナントは消費税を差し引けないのです。
そして、オーナーがインボイス発行事業者になった場合は、消費税の課税業者になるため消費税の納税負担が発生します。
税制改正では、免税事業者(※1)がインボイス発行事業者になった場合、3年間は納税額を売上税額の2割に軽減する措置がされました。
※1、課税売上年間1000万円以下
インボイス発行事業者への登録申請期限も緩和されました。
2023年3月31日までのところを、9月30日までとなりました。
インボイス制度が始まるのは2023年10月1日までです。
後半に続きます。
※更に内容を知りたい方は、財務省ホームページをご確認ください。