相続した土地を売却したときの税金は?
2023年08月01日
相続した土地を売却する場合、売却の利益に対して税金がかかります。
相続した土地の場合には、その土地が元々いくらで購入した土地なのかが不明なケースが多く、利益が予想以上に多く出てしまうことで税負担も大きくなりがちです。
しかし、相続した土地を売却する場合であっても、特例を活用することで税金を控除できる可能性があります。また、売却利益に対しての税金以外にもさまざまな税金が必要になるため、どのような税金でどのくらいかかるのかを把握しておくことが大切です。
今回は、相続した土地を売却する際にかかる税金について、詳しくお伝えしていきます。
||相続した土地を売却した時にかかる税金||
相続した土地を売却する場合には次のような税金がかかります。
・譲渡所得税
・住民税
・印紙税
・登録免許税
上から2つ、譲渡所得税と住民税は、売却で利益が出た際にかかる税金、一方で下から2つの印紙税と登録免許税は、売却手続きの際に必ずかかる税金となります。
それぞれの税金について、さらに詳しく見ていきましょう。
||譲渡所得税・住民税||
相続した土地を売却して出た場合、その利益は譲渡所得に区分されます。その譲渡所得に所得税・住民税が課税されます。譲渡所得税・住民税は、利益に税率をかけて算出されます。
ただし、売却する不動産の所有期間に応じて、「長期譲渡所得」、「短期譲渡所得」に分類され、それぞれ税率も異なります。
・長期譲渡所得
→所有期間5年超えの不動産の売却での利益
・短期譲渡所得
→所有期間5年以下の不動産の売却での利益
税率は次のとおりです。
長期譲渡所得:所得税・復興特別所得税→15.315%、住民税→5%
短期譲渡所得:所得税・復興特別所得税→30.63%、住民税→9%
上記でわかるように所有期間により、税率の合計は2倍近く異なります。短期に該当した場合は高額な税負担になるため、売却するタイミングを検討する際には所有期間も考慮できると良いでしょう。
補足ですが、相続の場合、所有期間は亡くなった方が土地を所有した日からカウントされます。相続した日からの所有期間ではない点に注意しましょう。
||長期譲渡所得税の計算方法||
税額=課税長期譲渡所得金額×15%(住民税)
課税長期譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除
まずはじめに、課税対象となる譲渡所得額を算出します。譲渡所得額を求める方法は、売却した額から購入にかかった費用と売却にかかった費用を差し引いた額です。
・購入にかかった取得費
購入代金以外にも、仲介手数料や印紙税などを含めた額を計上可能です。ただし、建物の際は購入費用から減価償却費を差し引く必要があります。土地の場合は、そもそも減価償却の対象ではないため、購入額がそのまま計上できます。
・取得費が分からない場合
購入額の5%を概算取得費として計上します。特に相続の場合はいくらで購入し手数料がどのくらいだったのかを把握できないケースが多いです。
・概算取得費で計上する場合が税負担が多い
本来の取得費よりも計上できる額が少なくなります。売却額から差し引ける額が小さくなることで利益が多くなり、税負担も大きくなる可能性があります。
譲渡所得を算出したら、あとは譲渡所得税の税率20.315%(住民税と合わせて)を乗じて、長期譲渡所得税が分かります。
||長期譲渡所得税の計算方法||
短期譲渡所得税の算出も、長期譲渡所得税の算出方法と同様です。
短期譲渡所得の場合は、是短期譲渡所得税の税率39.63%をかけて算出します。
||印紙税||
土地を売却する手続きで必ず発生する税金が印紙税です。課税対象となる文章を作成する場合に課せられる税金です。不動産売買の場合、売買契約書が印紙税の対象となります。
納税方法は、契約書に記載された金額(売却価格)に応じた税額分の収入印紙を書面に貼付・消印します。
※印紙税は、令和6年3月31日までは軽減措置を適用できます。
なお、もしも貼付忘れや消印忘れで納税していない場合、本来の印紙税額の3倍の印紙税を支払うことになるので注意です。
||登録免許税||
登録免許税は、不動産登記に関わる費用のことです。売却する土地に抵当権が設定されている場合は、抵当権の抹消登記が必要です。抵当権抹消にかかる登録免許税は不動産個数×1000円です。
この手続きは、司法書士に依頼するのが一般的で、司法書士に支払う報酬としては2〜3万円程度が必要になります。
さらに注意したいのは、売却後に所有権を売主から買主へ移転する登記も必要です。一般的に所有権移転登記は買主が行うため、売主が負担する必要はありません。ですが登記簿上の住所と売主の現住所や氏名が異なる場合は、相続後の登記をしていない場合、先に相続登記や所有者変更登記が必要です。
||相続した土地を売る際に税金以外で想定しておきたい費用||
税金以外にもかかる費用を把握しておきましょう。
次のようなものがあります。
・仲介手数料
・建物の解体費用
仲介手数料に関しては、別の記事を見ていただければと思います。
||建物の解体費用||
土地に建物が残っている場合、更地にして売却するなら解体費用がかかります。解体費用は場所や建物により大きく異なります。
建物の状態によっては、解体をせずに土地と建物をセットで売却した方が売りやすいというケースもあります。解体して更地にすることで、固定資産税が高くなるというデメリットがあり、売れない期間が長くなると固定資産税の負担が大きくなるので注意が必要です。
解体をすべきかどうかは、不動産会社に一度相談してみることをお勧めします。
今回は、相続した土地を売却する際にかかる税金をお伝えしました。
次の記事では、相続した不動産を売却する時にできる節税方法をお伝えしていきます。