いつからスタート|相続登記の義務化

2024年09月14日

相続登記を義務化する法案が、2021年4月に可決し成立しました。

 

 

いつから相続登記の義務化が始まっているのか、また期限や罰則の規定があるのか?

 

などと、不安に思う方も多いのではないでしょうか。

 

こちらの記事を読めば、相続登記の義務化について理解し、不安を解消することができ、備えておくことが可能になります。

 

・いつからスタートするのか

 

・期限や罰則の規定はあるのか

 

・過去の相続分について遡求対象になるのか

 

などに触れていきます。

 

これから相続登記をする方や、過去に相続した経験があるけれども、名義の変更をしていない方など、ぜひ最後までお読みください。

 

 

 

||相続登記の義務化||

 

 

相続登記義務化の施行日は2024年4月1日です。

 

これまでは任意だった相続登記ですが、そもそも、なぜ相続登記が義務化されるかというと「所有者不明土地」といわれる、「所有者が分からない土地の増加による問題」を解消するという目的があるのです。

 

2016年に所有者不明土地の調査が行われ、所収者が分からない土地の合計の面積は、なんと全国の土地の約20%になることが分かりました。

 

所有者不明土地の増加が問題になったのです。

この原因のひとつに、今まで相続登記の手続きが義務化されていなかったことがあります。

 

現行の法律では、相続登記をしないまま放置をしても罰則がないため、なかなか手続きが進まない状況でした。

 

そのため、改善策として出されたのが今回のテーマである、2021年4月に民法と不動産登記改正法の改正があり、2024年4月に施行されることになったのです。

 

 

そもそも、所有者不明土地が増えると何が問題なのでしょうか。

次に挙げていきます。

 

 

 

||所有者不明土地が増えるとどうなるか||

 

公共事業や災害の復興が進まない

 

 

所有者不明土地は、公共事業や災害の復興が妨げられます。

開発の計画を進めるためには、不動産登記簿に記載がされている所有者とのやり取りや交渉が必要になりますが、所有者が不明ではそれが不可能になるのです。

 

土地の所有者が不明の場合、所有者が誰か・生存しているかどうかが分からないからといって、政府や自治体が勝手に土地をどうにかして良いわけではありません。

 

土地活用が進まないのです。

 

 

進まない不動産取引

 

また、所有者の同意が得られないため、売却や賃貸借などの不動産取引ができません。

 

不動産取引の支障が出ている原因の一つに、地方の土地の資産価値が低下したということがあります。

 

地方では土地価値が下がっている場所が多く、なかなか売りにくい状況となっています。

相続した土地の固定資産税や管理費を負担に感じていても、売却して処分する、ということが都心ではできても、地方では難しいのです。そのため、相続登記をせずに放置するということがあります。

 

 

 

||相続登記の義務化の内容||

 

 

相続登記の義務化に関して、具体的な内容を解説していきます。

 

相続人が相続する財産に、土地や建物があると「知った時から」3年以内に相続登記をすること、が義務化されます。

 

知った時、というのは、一般的には被相続人が亡くなった日のことを指します。

 

相続した財産の中に土地や建物などの不動産があることを知らなかった場合や、相続人がその他・建物の相続人であることを知らなかった場合は、そのことを知った時から3年以内に登記をすれば、問題はありません。

また、過去に相続した不動産についても、遡って相続登記の義務化の対象となります。

 

 

 

 

||罰則について||

 

正当な理由を除いて、3年以内に相続登記をせずに放置していた場合は罰則があり、10万円以下の過料に処されます。

 

なお、期日を超える正当な理由というのは、下記の場合です。

 

・相続人が多数で、関係書類や相続人の確定に多くの時間がかかる場合

 

・相続人の健康状態が良くない、などの事情がある場合

 

 

 

 

||義務化される内容について||

 

土地や建物などの不動産所有者が住所や氏名を変更した時の登記も義務化されます。

 

なお、相続登記の義務化の開始は2024年ですが、住所・氏名の変更に関しての登記の義務化開始日は2026年4月に施行されると予定されています。

 

住所・氏名の変更に伴う登記の期限は、変更してから2年以内とされています。

期限内の登記を怠った場合、5万円以下の過料となります。

 

 

 

 

||過去の相続分も登記義務の対象になるのか||

 

施行日よりも相続が発生していた場合、過去の相続分も遡って適用となります。

法律の効力が発生するので、過去に相続した不動産も義務化の対象となりますので、相続未登記のものがないかを確認しておきましょう。

 

 

施行日である2024年4月1日

 

もしくは

 

相続開始があったことを知り、かつ不動産の所有権の取得を知った日

 

いずれかの遅い日から3年以内に相続登記の手続きを行うことが義務化されます。

 

 

まだ相続登記をすることがなかった方は今のうちに備えておきましょう。