2024年の住宅ローン減税はどうなる?
2023年12月23日
住宅ローン減税とは、住宅を購入したり増改築をするための支援制度のひとつです。2024年には改正をを予定しているため、これから住宅の購入や増改築を検討されている方は、制度の内容を知っておくと良いでしょう。
2024年以降は、基本的には省エネ基準を満たしている住宅のみが住宅ローン減税の対象となり、借入限度額の引き下げなどが実施されます。そのため、住宅の購入時期などは制度の改正内容をふまえておくことをお勧めします。
今回は、住宅ローン減税の概要や、2024年以降に変わる制度のポイントや注意点などを解説していきます。
||住宅ローン減税とは||
住宅確保の促進を目的とした国の制度です。
住宅の購入や増改築などの際に住宅ローンを利用すると、各年末のローン残高の0.7%が最大13年間、所得税から控除されます。
住宅ローン減税は、所得をベースに計算された税金額から直接差し引く税額控除であり、税額計算前の所得額から控除する所得控除よりも、減税額が大きくなることが一般的です。
この制度を受けるためには、住宅の床面積や所得金額、借入金の償還期間などのいくつかの条件を満たす必要があります。なお、住宅ローン減税の借入限度額は住宅の環境性能などによって異なります。
2022年度の税制改正により、新築住宅および買取再販住宅に対する住宅ローンの借入限度額や控除期間が見直されました。2024年から適用される制度改正のポイントについてをお伝えします。
||2024年から変わるポイント||
2024年以降の住宅ローン減税改正のポイントを3つご紹介します。
1.省エネ基準を満たさない新築住宅は対象外
2.省エネ性能に応じて借入限度額が異なる
3.申請の際は証明書が必要
1.省エネ基準を満たさない新築住宅は対象外
2024年1月以降に建築確認を受ける新築住宅は、省エネ基準を満たさない場合は、住宅ローン減税の対象外となります。
そのため、省エネ基準を満たさない「その他の住宅」が住宅ローン減税を適用するには2023年12月31日までに建築確認を受けなければなりません。
ですが2024年6月30日までに建築された住宅であれば、省エネ基準を満たさない新築住宅であっても、借入限度額2000万円・控除期間10年間で制度が適用されます。
建築確認とは、建築の着工前に建物や地盤が建築基準法などに適合しているかを確認するものです。建築確認をいつ行なったかにより、制度の対象外となるかどうかが変わる点に注意しましょう。
省エネ基準とは、省エネ性能確保のために必要とされる、建築物の構造や設備に関する基準です。一次エネルギー消費量基準と外皮基準の2つがあり、これらの基準を満たしていなければ、住宅ローン減税は受けられません。
2.省エネ性能に応じて借入限度額が異なる
住宅の省エネ性能に応じて、借入限度額が変わってきますが、2024年以降の入居は、どの住宅もそれ以前と比べて借入限度額が減額されます。
住宅の省エネ性能とは、
・長期優良住宅・低炭素住宅
・ZEH水準省エネ住宅
・省エネ基準適合住宅
・その他の住宅
以上の4段階に分けられます。
それぞれの住宅に関して見ていきましょう。
・長期優良住宅・低炭素住宅
長期優良住宅とは、劣化対策や耐震性などの認定基準に適合した住宅であり、所管行政庁に申請すると認定されます。低炭素住宅とは、二酸化炭素の排出抑制対策ができている住宅のことです。
2024年以降入居の場合、長期優良住宅または低炭素住宅の借入限度額は4500万円です。
・ZEH水準省エネ住宅
断熱・省エネ・創エネの要素を組み合わせた住宅です。日本住宅性能表示基準の断熱等性能等級が5以上、かつ一時エネルギー消費量投球が6以上である住宅が該当します。
2024年以降入居の場合、ZEH水準省エネ住宅の借入限度額は3500万円です。
・省エネ基準適合住宅
一定の省エネ基準を満たす住宅です。日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級が4以上で、かつ一次エネルギー消費量等級がが4以上の住宅が該当します。
2024年以降入居の場合、省エネ基準適合住宅の借入限度額は3000万円です。
3.申請の際は証明書が必要
省エネ基準以上の住宅であることの証明として、以下のどちらかの提出が必要です。
・建設住宅性能評価書
・住宅省エネルギー性能証明書
※2025年4月以降に建築確認を受ける場合は下記書類の提出は不要予定
||住宅ローン減税を活用する際の注意点||
住宅のタイプ別に解説していきます。
・省エネ基準を満たす新築住宅
省エネ性能に応じて、住宅ローン減税の借入限度が変わります。省エネ性能が高い住宅の方が税制優遇が大きいため、住宅を新築する際には省エネ性能をどの程度高めるのか、制度内容を踏まえて検討しましょう。
2024年以降の入居の場合、省エネ性能に関わらず、どの住宅も借入限度額が500〜1000万円下がります。
住宅ローン減税制度と、各種補助金制度は併用ができます。
住宅新築前に、住宅ローン減税以外に適用できる制度がないか調べてみましょう。
・その他の新築住宅
省エネ基準に満たない”その他の住宅”で住宅ローン減税を適用させるためには、2023年以内の入居が良いでしょう。2024年6月までに建築できなければ、住宅ローン減税は適用外になります。たとえ2024年6月までに建築できて適用となったとしても、2024年以降の入居となると、借入限度額が3000万円から2000万円に、控除期間は13年から10年に減ってしまいます。
2023年以内の建築確認や入居が難しい場合は、建築済みの建売住宅の購入なども検討してみると良いでしょう。
・中古住宅
これは、2024年以降も借入限度額に変更はありません。中古住宅の借入限度額は、省エネ基準を満たす住宅では3000万円、その他の住宅では2000万円です。
||住宅ローン減税を受ける際の手続き||
入居日翌年の1月4日〜3月15日に確定申告が必要となります。
会社員などは確定申告が不要ですが、1年目はご自身で申告が必要となります。給与以外に所得のない会社員の場合は、2年目以降は会社の年末調整で控除されるため、申告は不要です。
自営業者など確定申告を毎年行う人は2年目以降でも継続して申告が必要です。
確定申告の際は、登記事項証明書、不動産売買契約書の写しなどの書類が必要です。
期限直前に慌てることがないよう、早めに必要書類を揃えておきましょう。
いかがでしょうか。
住宅の購入を支援する住宅ローン減税は2024年から改正され、適用となる住宅の種類や借入限度額などが変わります。
今後住まいの購入や増改築を検討されている方は、制度の内容をしっかり確認し、いつどのような住宅を取得するのかを検討してみてください。