【完全版】不動産売却後の確定申告
2024年09月21日
不動産売却で譲渡所得があった場合、2024年分の確定申告は2月16日〜3月15日の間に行わなければなりません。
売却では利益がない場合は課税がされないために確定申告が不要ですが、利益が出た場合は確定申告を行います。
売却したがいざ確定申告を前にどうしたら良いのか分からずに困ったり、適用できる特例の存在を知らずに損をしてしまうケースが少なくありません。
税務署の相談窓口や税理士に相談することをお勧めしますが、その前にある程度ご自身でも基本的な課税の仕組みを理解しておくと、専門家の説明がよく分かりますし申告手続きがスムーズです。
まずは確定申告の大まかな流れからお伝えしていきます。
1.必要書類の準備
2.譲渡所得税の計算
3.確定申告書類の提出
これで完了です。
||1.確定申告に必要な書類||
・確定申告書B様式
・分離課税用の申告書
・売買契約書のコピー
・建物、土地の登記事項証明書
・領収書コピー
それぞれの取得場所は、確定申告書B様式と分離課税用の申告書は税務署。
建物、土地の登記事項証明書は不動産が所在する管轄法務局で、領収書は不動産の売却時に発行したもの及び入手したものです。
||2.譲渡所得税の計算||
譲渡所得税は、譲渡価格(売却価格)から、物件の取得費や譲渡で発生した費用と、特別控除を控除した「課税譲渡所得」に対してかかります。
以下の計算式で求めることができます。
課税譲渡所得=譲渡価格ー(取得費+譲渡費用)
取得費に関して
売却した土地や建物の購入代金や、建物の建築費用(建物の購入代金からは減価償却費相当額を差し引いたもの)、土地測量費などの合計額です。
つまり、取得費などが大きければ大きいほど課税譲渡所得は小さくなります。
取得費の求め方
2通りあり、金額が大きくなる方を選択しましょう。
「実額法」
不動産取得時の契約書や領収書などを根拠として、実際に払った実額取得費を求める方法。
「概算法」
不動産取得時の書類がなく、実額取得費が不明な場合に取られるケースが多いです。また、実額取得費よりも概算取得費の方が大きい場合は、概算法を使用しましょう。
概算方は、「譲渡収入額×5%」で求められます。
譲渡費用に関して
仲介手数料や印紙税、建物を解体して土地を売却した時の解体費用と、その建物の損失額などを指します。
不動産売却の特別控除
譲渡価格から控除できる費用は、不動産の取得費や譲渡費用、特別控除などがあります。
もしも自分が居住用として使っていた家屋や土地を売った場合は、最高3000万円を控除できます。
併用できる特例もある場合があるので、確認しておきましょう。
※建物の場合は「減価償却費」を差し引きましょう
例えば、3000万円で購入した木造住宅を所有していて、10年後にその家を同じ3000万円で売却をしたとします。
その場合は、譲渡所得がないので非課税でしょうか?
いいえ、この場合は残念ながら非課税ではありません。
建物は10年間の間に一定の劣化をしています。建物の取得費は、その劣化分を差し引いた金額としなければなりません。この建物の劣化分に相当する金額が「減価償却費」となるのです。
建物の法定耐用年数は構造ごとに決まっています。
減価償却費はこの法定耐用年数をもとに出します。
非事業用の建物の耐用年数は事業用建物の1.5倍。
木造住宅やセカンドハウスは耐用年数は33年で償却率は0.031。
鉄骨、鉄筋コンクリートの場合は耐用年数は70年で償却率が0.015、と減価償却率も決まっています。
減価償却費の計算方法も「定額法」と「定率法」の2種類あります。
定額法は毎年同額を減価償却し、定率法は毎年同率を減価償却するものです。
年数によって計算が複雑になるため、必要に応じて税務署や税理士に相談しましょう。
||譲渡所得税率は不動産の所有期間で変化||
所有期間が5年以下のケース
短期譲渡所得に区分されます。
税率は39.63%
所有期間が5年超えケース
長期譲渡所得と区分されます。
税率は20.315%です。
また所有期間が10年を超える居住用住宅の場合は、課税譲渡所得6000万円以下の部分に関しては軽減税率があります。
所有期間というのは「不動産取得の日から、譲渡日が属する年の1月1日まで」であり、不動産取得の日から譲渡までの日ではないので注意しましょう。
大まかな「不動産売却に関する確定申告」について把握できたでしょうか?
これを把握しておくことで手続きもスムーズに行くと思います。
まだと思っていても、確定申告の締め切り3月15日の直前に慌てることがないように、ゆとりをもって行動しましょう。