土地の売買価格を算出する方法

2022年11月12日

土地の実勢価格とは?

 

 

ここでは、一般の人が土地を購入する時に、取引された価格を指します。

土地を売ったり買ったりすることは頻繁にあることではありませんが、だからこそ購入しようとしている土地の価格が高過ぎていないか、もしくは売却しようとしている土地の価格が安過ぎではないか…と不安に思うことはありませんか?

 

本記事を読めば、実勢価格の調べ方、実勢価格と路線価や公示価格との違いが分かります。

 

特に土地の売買を検討している方は、ぜひお役立てください。

 

調べ方や路線価・工事価格との違いを分かりやすく解説

 

 

||土地の実勢価格とは何か?||

 

土地の実勢価格とは、実際に土地を購入したり売却したりした際の市場価格のことです。

 

土地の取引が行われるとその取引のデータが国土交通省に集まります。

 

そのデータの中から、土地の具体的な場所を特定されない形で「土地の価格」や「土地の広さ」、「建築条件など」が公表されており、この価格のことを実勢価格と呼びます。

 

 

 

||注意点||

 

上に書いた通り、実勢価格は実際の取引が行われたものの価格を集約したものではありますが、土地の大きさ、立地、建築条件などをみると、全く同じ土地とは言えません。

 

そのため、過去の売買実績を見て、同じ市場価格で売買できると考えるのは望ましくありません。

 

大切なことは、実勢価格は「今回の対象地ではないその土地が、過去にいくらで取引されたかを示す市場価格」であり、その価格にこだわり過ぎないことです。

 

例えば、土地を売却する際に、購入希望者が大勢いれば市場価格は高くなり、一方で購入希望者がいなければ価格を下げて購入希望者が出てくるのを待つしかないのです。

 

また、過去と現在の経済状況も異なるため、同じような土地でも1、2年前と比較して土地の市場価格が変動しているということも考えられます。

 

価格が妥当かどうかを判断するのは難しいことを念頭に置いておきましょう。

 

 

 

||実勢価格の5つの調べ方||

 

①国土交通省の「取引価格」で調べる

②路線価をもとに計算

③相続税評価額をもとに計算

④基準地価をもとに計算

⑤公示価格をもとに計算

 

それぞれ見ていきましょう。

 

 

 

調べ方①国土交通省の「取引価格」で調べる

 

土地の実勢価格、つまり過去の取引価格は、国土交通省の 「土地総合情報システム」で調べられます。

 

土地総合情報システムのトップページから「不動産取引価格情報検索」をクリックすると、日本地図が表示されます。

 

そこから取引事例を調べたい都道府県を選択できます。

 

左側に取引の時期や市区町村などの条件を指定する表示があるため、条件を指定して検索するとその地域で行われた取引の価格が表示されます。

 

また、価格だけでなく土地の広さや形状、前面道路などの情報も掲載されています。

 

取引しようとしている土地の条件に近いものを探せばそれを参考にできます。

 

 

調べ方②路線価をもとに計算

 

路線価とは土地の評価額の1つで、土地を相続した際の相続税、土地を贈与した場合の贈与税の額を計算するために用いられ、毎年国税庁が公表しています。

 

地域にもよりますが、公示価格のおよそ8割程度の価格になっています。

 

路線価の調べ方

 

国税庁のHPの「路線価図・評価倍率表」のページを開きます。

 

路線価図、市区町村、地名の順に選択肢、該当する地域の地図が表示されます。

 

路線価図の読み方については、後日あらためて記事をもうけます。

 

 

〜実勢価格と路線価の違い〜

 

路線価/実勢価格

 

◯価格の概要

国税庁が毎年7月に公表する指標/土地の取引が成立した価格

 

◯価格の決まり方

国税庁が決定/売買契約を交わす当事者間で自由に決める

 

◯評価される時

毎年1月1日/取引時

 

 

路線価から実勢価格を求める計算方法

 

路線価は、国土交通省が毎年公表している公示価格のおよそ8割程度になるよう設定されています。

 

 

実勢価格=路線価÷0.8×1.1

 

路線価も公示価格も、毎年見直され不動産市況を反映して上下します。

そのため路線価は地価の変動をリアルタイムで反映しており、そこから実勢価格の計算を行うことは合理的な方法です。

 

 

調べ方③相続税評価額をもとに計算

 

土地の時価を知りたいと考える場合、公示価格を調べましょう。

ですが公示価格が公表されている地点の数は決して多くありません。

 

 

そこで、路線価を利用し、公示価格に相当する価格を逆算する場合があります。

 

 

路線価から相続税評価額を求める方法

 

路線価は、市街地のほぼ全ての道路に設定されており簡単に調べることができます。

 

そのために土地ごとにそれぞれの相続税評価額を求める仕組みがあります。

 

相続税評価額から実勢価格を求める計算方法

 

路線価から求めた相続税評価額は、公示価格の8割相当の金額になるとされています。

 

公示価格=相続税評価額÷0.8

 

こちらの計算で実勢価格を求めることができます。

 

 

 

 

調べ方④基準地価をもとに計算

 

 

基準地価とは、都道府県が年1度に発表する土地の価格です、

 

国土交通省が運営するHPで都道府県ごとに土地価格がまとめられています。

 

各都道府県のHPから調べることが可能です。

 

基準地価から実勢価格を求める計算方法

 

毎年7月1日現在の土地の評価額を算出し、9月20日ごろに公表されます。

 

国土交通省が毎年公表している公示価格は、毎年1月1日時点の土地の評価額となっています。

 

公示価格と基準地価の両方の対象となっていることもあるため、半年ごとの価格の推移を比較することが可能となっています。

 

実勢価格=基準地価×1.1

 

こちらの計算式で基準地価から実勢価格を求めることができます。

 

 

基準地価の1.1倍〜1.2倍の価格が実勢価格になると言われています。

 

 

 

調べ方⑤公示価格をもとに計算

 

公示価格とは、国土交通省から公表される土地の売買の指標とするための土地の価格です。

 

毎年1月1日現在の土地の正常な価格を国土交通省の土地鑑定委員会決定して公示価格を公表しています。

 

公表するのには理由があり、土地は唯一無二のため、買う側と売る側の思惑により、その市場価格が大きく変動しやすい特徴があるため、公示価格の正常な価格を公表することとされています。

 

 

 

公示価格と基準地価の違い

 

  公示地価/基準地価

◯概要 国土交通省が定める/都道府県が定める

◯調査の名前 国土交通省地価公示/都道府県地価調査

◯評価方法 1地点につき2名以上の不動産鑑定士による評価/1地点につき1名以上の不動産鑑定士による評価

◯評価時期 1月1日時点/7月1日時点

◯評価箇所 全国2万3000カ所の標準地/全国2万カ所以上の基準値

 

 

例えば、8月に土地を売却する場合は、基準地価の方が最新の価格を確認できます。

 

不動産を売却するタイミングに合わせて、最新の価格を選ぶと良いです。

 

 

公示価格の調べ方

 

 

土地総合情報システムから調べることができます。

 

その地点周辺の標準地や基準地の場所が表示されるため、価格を比較しながら簡単に調べることが可能です。

 

公示価格から実勢価格を求める方法

 

土地取引の目安になる金額と言われ、実際には公示価格をもとに土地の売買価格を決定するのが一般的ですが、公示価格は土地の実勢価格と同じというわけではありません。

 

実勢価格=公示価格×1.1

 

 

実際には土地の売買が行われる場合は、この実勢価格を基準として、周囲の状況や今後の需給バランスなどを考慮して、実際の売買価格を決定します。

 

 

 

以上のように、土地の実勢価格は様々な要因に基づき決定されるため、どのようになれば上昇し、どうすると下落するのか、簡単には説明できません。

 

ですが、公示価格は土地取引の際、目安となる金額のため、公示価格の動きを知っておくことは、実勢価格の変動を予測することにつながります。

 

公示価格が近くにない個別の土地については、路線価を調べることも有効です。

 

様々な方法で、土地の価格の変動を調べてみましょう。