空家等対策特別措置法とは

2024年07月04日

全国で空き家問題が注目される中、国会では「空家等対策の推進に関する特熱措置法(通称:空家等対策特別措置法)」が平成26年11月に成立しました。

 

この法律には下記のようなことが定められています。

 

・空き家の実態調査

・空き家の所有者へ適切な管理の指導

・空き家の跡地についての活用促進

・適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定することができる

・特定空家に対して、助言・指導・勧告・命令ができる

・特定空家に対して罰金や行政代執行を行うことができる

 

詳細をみていきましょう。

 

 

 

||空き家とは何か||

 

 

そもそも「空き家」とは、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物のことを指します(空家等対策の推進に関する特別措置法 2条より引用)。

 

具体的には、1年間を通して人の出入りの有無や、水道・電気・ガスの使用状況などから総合的に見て「空き家」かどうかが判断されます。

 

たとえ空き家であっても、所有者の許可なしに敷地内に立ち入ることは不法侵入にあたるためできません。

 

ですが、「空家等対策特別措置法」では、管理不全な空き家の場合、自治体による敷地内への立ち入り調査を行う事ができたり、所有者の確認をするために住民票や戸籍、固定資産税台帳の個人情報を利用できるなど、水道や電気の使用状況のインフラ情報を請求できるとされ、所有者の情報を取得しやすくなりました。

 

もちろん、行政からの指示がないよう、定期的に所有している空き家の管理を行うことが重要です。もし万が一、適正管理に関する通達を受けてしまった場合は迅速に対応する意思を表示することが大切です。

 

 

 

 

||適正管理の助言とは||

 

 

空き家を適正管理する義務は所有者にあります。

 

建物が老朽化して倒壊しそう、庭の草木が成長して道路まではみ出している、などの問題があった場合、所有者はすぐにその状況を改善する必要があります。

 

「空家等対策特別措置法」では、所有者の義務である空き家の適正管理をしない所有者に対して、市町村が助言、指導、勧告といった行政指導、そして勧告しても状況が改善されなかった場合は命令を出すことができるようになりました。

 

 

行政からの連絡は主に郵送で行われますが、管理状況に改善が見られなかったり、行政への連絡がなかったりした場合、行政職員が直接訪問するケースも多くあります。

 

役所から所有している空き家の管理について、助言、指導、勧告、命令があった場合、直ちに役所の担当者へ連絡し、改善を行うという意思を伝える必要があります。

 

 

 

⚫︎助言ついて

 

例えば「庭の草木が伸びているので除草作業を行ってください」と行政から、適正管理を求める助言があった場合は、近隣住民からの苦情があったということがいえます。

 

助言は法的な効力が無いため、対応するかどうかは所有者の判断に委ねられていますが、比較的容易に対応できることも多いため、近隣住民のためにも対応するようにしましょう。

 

 

 

⚫︎指導について

 

所有者が助言に従わない場合や、改善が直ちに必要な場合、所有者に対して市町村から空き家管理について指導されることがあります。

 

指導は助言よりも行政指導として重く、所有者に対して適正管理を強く促すものです。

 

初めての行政指導で指導がされた場合、近隣住民から複数のクレームがあった可能性が高くなります。

 

もし、所有している建物について市町村から改善の指示がきた場合、近隣住民のために、早急な管理状況の改善が必要です。具体的にどのように改善するか市町村にも連絡するようにしましょう。

 

 

⚫︎勧告について

 

空き家の適正管理について指導されても状況が改善されない場合、所有者に対して市町村は状況改善の勧告を行います。

 

その状況は、近隣住民に大きな被害をもたらす可能性があるような深刻なケースも多く、一刻も早い対応が必要です。

 

「特定空家」に指定されてた後に改善を勧告されてしまうと、その状況が改善されるまで固定資産税の優遇措置が適用されず、従来の土地の税金6倍を支払う必要となります。

 

もし、所有している空き家が管理改善の勧告を受けた場合、すみやかに担当者へ連絡し、現状を把握し改善する必要があります。

 

勧告を受けた空き家は、そのまま放置すると危険なケースもあるため、迅速な状況把握と対応が必要となる深刻な事態です。

 

※特定空家に指定されても、原因となっている状態を改善するとで特定空家から解除されます。

 

 

⚫︎命令について

 

勧告されても所有者が対処しない場合、市町村は空き家の所有者に対して改善の命令をします。

 

命令は助言、指示、勧告といった行政指導よりも重く、行政処分と言われる行為で、空家等対策特別措置法では命令に背くと50万円以下の罰金が科されます。

 

また、命令を受けた空き家に改善が見られない場合、行政が所有者に代わり対処し、その費用を所有者に請求する「行政代執行」により、樹木の伐採や塀の撤去、建物の解体が行われる可能性もあります。

 

命令を受けた場合、それは行政からの最も厳しい通告です。

 

空き家をこのまま放置し続けると、建物の倒壊、火災の発生などで近隣住民の生命を巻き込む非常に高い危険性があり、一刻も早い迅速な対応が必要な状況です。

 

もし管理状況改善の命令を受けた場合、すぐに職員に連絡し、空き家を適切に改善するようにしましょう。

 

 

 

 

いかがでしたか。

 

空き家をそのままにしておくと、命令違反による罰金や、特定空家への指定という制度も出てきます。

 

特定空家に指定されると、固定資産税の優遇がなくなり、税金が最大6倍になる可能性もあります。

 

それを回避するためにも、所有する空き家はきちんと管理するよう心がけましょう。