不要な空き家の処分方法や売れない時の対策

2024年03月03日

親からの相続や、家族の転勤など、さまざまな理由で空き家となり、空いてしまった家の処分を検討するケースがあるでしょう。空き家を手放す方法は、通常の売却や、解体をし更地にして売却するなどいくつか方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

 

空き家の処分方法を選択する際、売却価格や手間、税金などの要素を検討することが重要です。

 

この記事を読めば、空き家を放置することで発生するデメリットや、不要な空き家の処分方法、売れにくい空き家の特徴や対策などが分かるようになっています。ぜひご一読ください。

 

 

 

||空き家を放置することのデメリット||

 

老朽化してさまざまな問題を引き起こす「空き家問題」は社会問題にもなっています。

 

空き家を放置すると生じる主なデメリットは、以下の4点です。

・近隣トラブルのリスクが生じる

・管理の手間がかかる

・資産価値が下がっていく

・固定資産税が発生する

 

 

 

近隣トラブルのリスクについて

 

例えば雑草や木の枝が伸び放題になったり、建物が老朽化したりなど景観の悪化があります。

建物の老朽化が進んで廃墟化してしまうと、災害時には倒壊の危険もあり、近隣住民は不安になるでしょう。

また、空き家は放火や不法侵入、ゴミの不法投棄など、犯罪の温床になりやすい点にも注意が必要です。害虫や害獣が繁殖しやすいといった問題もあり、これらは近隣住民とのトラブルに発展する可能性もゼロではありません。

 

もしも空き家を放置したことで近隣住民に損害を与えてしまった場合、訴訟を起こされるおそれもあるため、なるべく早めに対策を練ったほうが良いでしょう。

 

 

 

管理の手間について

 

たとえ自分が住んでいなくても、建物の所有者は管理責任から逃れられません。特に、空き家は建物の老朽化が急速に進んでしまいます。

 

定期的に換気されないことによって建物内に湿気がこもりやすくなり、カビの繁殖やシロアリ被害、木部の腐食などが発生しやすくなるでしょう。

また、空き家になった時点で築年数がある程度経っていた場合は、人が住んでいれば気づくような雨漏りや配管からの漏水などの重大なダメージに気づかないリスクもあります。

 

今後その家に住む予定がない場合でも、近隣住民に迷惑がかからないよう、最低限のメンテナンスや管理を実施する必要があります。

それが難しい場合は、早めに手放した方が良いでしょう。

 

 

 

資産価値が下がる

 

建物の価値というのは、年が経つごとに下がります。

空き家の状態が長く続くと管理が行き届かなくなり、建物の劣化が急速に進みます。

水回り設備以外にも、屋根や柱、構造上重要な箇所のダメージが進んでいきます。

空き家の状態が長く続くと、資産価値が下がってしまうことを覚えておきましょう。

 

 

 

固定資産税が発生

 

空き家を所有していると、固定資産税がかかります。

人が住んでいない空き家であっても、所有しているだけで納税の義務があります。固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や一戸建て、マンションなどの不動産を所有する人が納付する地方税のことです。

 

空き家を長期間放置していることは税金面でもデメリットがあります。

 

 

 

 

||不要な空き家の処分方法||

 

 

不動産は自ら居住するか、第三者に貸して賃料収入を得なければ、税金や管理の責任が負担になります。

そのため、利用する予定のない空き家は所有し続けるよりなるべく早く処分を検討した方が良いでしょう。不要な空き家を処分するには、以下の5つの方法が考えられます。

 

・第三者に譲渡する

・相続放棄する

・自治体や法人に寄付する

・空き家バンクを活用する

・売却を検討する

 

 

第三者に譲渡する

 

不要な空き家に利用価値がある場合は、第三者に譲渡するなどができます。

エリアで住む家を探している人や、DIYで築古物件をリフォームして賃貸経営している人など、その物件を欲しい人が現れれば、無償で譲渡することも可能です。

 

ただし、譲渡を受ける人には、登記費用や贈与税、不動産取得税などの税金がかかります。

 

 

相続放棄をする

 

空き家となることが分かっている、またはすでに空き家状態の不動産を相続することになった場合、その権利を放棄することもできます。

 

相続放棄の手続きは、相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出して申請しなければなりません。

また、相続放棄するとすべての財産に対しての相続権を失います。特定の財産における相続だけを放棄できません。つまり、「金融資産は相続したいが、実家の空き家は相続したくない」といった主張は通らないため、その点にも注意が必要です。

 

さらに、不動産としての資産には税金や管理責任が伴うため、安易に相続放棄するとほかの親族に迷惑がかかるケースもあります。

そのため、事前に関係者の了承を得ておくことも重要です。

 

 

自治体や法人に寄付する

 

自治体が空き家の寄付を受けてくれる場合、公園や公民館、防災倉庫などとしての利用が考えられます。また、法人が寄付を受付けてくれる場合は、駐車場や倉庫用地としての利用などがあります。

 

ただし、固定資産税は自治体にとって貴重な収入源なため、自治体は固定資産税の収入を上回る利用価値がないと判断された場合は、寄付を受付けてもらうことはかなり難しくなります。

 

 

空き家バンクの利用

 

空き家バンクは、自治体が空き家情報を提供するサービスです。

空き家の所有者が情報を登録し、借り手や買い手が空き家を探せるサービスです。

 

通常の不動産仲介会社は営利目的のため、築年数が古い・駅から離れているなどの売れにくい物件が不動産広告に載るケースは少ないですが、一方、自治体が運営する空き家バンクは社会問題の解決や地域活性を目的としているため、営利目的ではありません。

そのため、築年数が古い物件や駅が遠い物件も掲載されており、田舎で暮らしたい人やセカンドハウスを探している人などのニーズに対応しています。

 

 

 

売却を検討する

 

先述した第三者への譲渡や相続放棄、自治体への寄付の場合、所有者の手元にはお金が残りません。一定の利用価値がある物件の場合、建物が古くても価格を安くしたり荷物を片付けて見栄えを良くしたりすれば、買い手がつく可能性もあります。

 

空き家の期間が長引くほど建物の劣化が進み、市場価値は下がってしまうため、なるべく早く売却に踏み切ることが大切です。

 

通常の売却でなかなか売れないときに空き家バンクや譲渡、寄付などを検討すると良いでしょう。売却する際は、一般的に以下の手順で進めます。

 

 

1.不動産会社に査定を依頼する

2.査定価格をもとに売却を任せる不動産会社を選定する

3.不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始してもらう

4.空き家を欲しい人が現れたら、売買契約を締結し、手付金を受取る

5.残代金を受取り、所有権移転の手続きを実施する

 

 

 

 

||売れにくい空き家の特徴と対策||

 

 

特に相続した空き家の場合、相続税の納付期限(相続開始の10ヶ月後)までに売却できなければ、相続税の納付が間に合わなくなるリスクもあるため注意が必要です。

以下のような特徴がある空き家は、売れにくい傾向にあります。

 

・立地に問題がある

・市街化調整区域にある

・権利関係に問題が生じている

・再建築不可物件に該当している

 

 

また、上記のような売れにくい特徴がないにも関わらず売却に出してもなかなか売れない場合は、下記のような対策も有効と言われています。

 

 

・必要箇所をリフォームして売却する

・空き家を更地にして土地を売却する

・売却価格の見直しを行う

 

 

 

必要箇所をリフォームして売却する

 

 

建物が老朽化していて売れない場合、必要箇所をリフォームすることで売却がスムーズに進む場合があります。

たとえば、家財道具の処分やハウスクリーニング、水回りを中心とした生活の汚れを綺麗にするだけでも印象はアップします。

 

また、外壁や屋根を補修しておくと、耐久性も第一印象も良くなります。水回りの交換やクロスの張り替え、床材の張り替えなど、やればやるほど印象は良くなるでしょう。

ただし注意したいのは、かかったリフォーム代の分だけ高く売れるわけではない点です。

実施する前に不動産会社に相談してみるのも良いでしょう。

 

 

 

空き家を更地にして土地を売却する

 

空き家を更地にして、土地を売却することも選択肢の1つです。

空き家を更地にして売却するか、古家付き土地として売却するか、どちらが良いかは売れる価格によって異なります。

建物自体に価値があるケースや再建築不可物件、査定価格よりも解体費用のほうが高くなる場合などは、古家付き土地として売却したほうが良いでしょう。

 

それに対して、建物の耐震性が低い場合や老朽化して景観が悪い場合、維持管理が難しい場合などは更地にしたほうがスムーズに売却できることがあります。

 

注意点としては、建物を解体してしまうと土地にかかる固定資産税の軽減措置が適用されなくなるため、固定資産税がそれまでの6倍になってしまいます。したがって、解体費をかけて更地にしても売れるかどうか分からない場合には、おすすめできません。

 

 

 

空き家の売却価格を相場より安く設定する

 

空き家の状態や立地条件などによっては、売却価格が高すぎると購入検討者が現れにくくなります。相場より安い価格設定にすることで購入者にとって魅力的な物件となり、売却のチャンスが増えるでしょう。

ただし、価格設定を下げる際は、適切な金額を見極めることが重要です。安く設定しすぎると、逆に購入検討者が疑念を抱いてしまうこともあります。

空き家を売却する際の損益も考慮する必要があるため、適切に価格設定するためにも、不動産会社と相談することがおすすめです。

 

 

 

いかがでしたか。

所有している空き家に関して、一度ご家族や親戚と話し合った上で、不動産会社に相談してみることで方向性が見えてきます。税金面でのメリット・デメリットを比較してより良い売却方法を見つけていきましょう。