空き家を手放す方法や売れない場合の対策

2024年07月12日

空き家の処分を検討する方も多いでしょう。例えば相続や転居、遠方での所有など、様々です。

 

空き家を手放す方法は、通常の売却や、解体して更地にするなど複数のパターンあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

 

空き家の処分方法を選ぶ際、売却価格や手間、税金などの要素を検討することが必要です。

 

今回の記事は、空き家を手放したい人向けに、処分方法や売れない場合の対策などを解説していきます。

 

この記事を読むと、空き家を放置することで生じるデメリットや、不要な空き家の処分方法、売れにくい空き家の特徴や対策などが分かるようになります。

 

ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

||空き家を放置しておくことによるデメリット||

 

 

主なデメリットは4つあります。

 

・近隣トラブルのリスクが生じる

・管理の手間がかかる

・資産価値の低下

・固定資産税の発生

 

順に詳しくみていきましょう。

 

 

近隣トラブルのリスクが生じる

 

空き家を放置すると、近隣トラブルのリスクが高まります。

 

例えば雑草が伸び放題になったり、建物が老朽化したりなど、景観も悪くなります。

 

建物の老朽化が進むと、災害時には倒壊の危険性もあり、近隣住民は不安になるでしょう。

 

空き家は放火や不法侵入、ゴミの不法投棄など、犯罪の温床になりやすいです。害虫の繁殖などが進むと、近隣トラブルなどにも繋がる可能性があります。

 

空き家を放置したことで近隣住民に損害を与えてしまった場合は、訴訟を起こされるおそれもあるため、早めに手放すことをお勧めします。

 

 

 

管理の手間

 

たとえそこに自分が住んでいなかったとしても、建物の所有者は管理責任からは逃れられません。特に空き家は建物の老朽化が急速に進んでしまいます。

 

定期的に換気されないことによって建物内に湿気がこもり、カビの繁殖やシロアリ被害なども発生しやすくなります。

 

空き家になった時点で築年数がある程度経っていた場合、人が住んでいれば気づくような雨漏りなどの重大なダメージに気づくのが遅れるケースもあります。

 

今後も住む予定のない空き家でも、近隣住民に迷惑がかからないように最低限のメンテナンスや管理を実施しなければなりません。

 

必要な管理は、下記の項目をポイントにすると良いでしょう。

 

・定期的な換気→湿気の抑制のため

・通水→水道管のサビ防止

・屋内、屋根、外壁のチェック→雨漏りや外壁のひび割れの早期発見

・清掃や庭の手入れ→害虫・害獣の発生防止

・郵便物の管理→犯罪防止

 

 

 

資産価値の低下

 

原則として建物の価値は経年により下がります。

 

空き家の状態が長く続いて適切な管理が行き届かなくなると、建物の劣化が急に進みます。

 

住む人がいなければ、定期的なメンテナンスが行われず、屋根や柱、梁などの構造上重要な箇所のダメージも深刻化するでしょう。

 

 

 

固定資産税の発生

 

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や一戸建て、マンションなどの不動産を所有する人が納付する地方税のことです。

誰も住んでいない空き家であっても、所有しているだけで納税義務が発生します。

 

また2015年には「空家等対策特別措置法」が施行されました。

 

空き家を長期間放置したことにより劣化が進み、倒壊の危険など近隣住民に悪影響があると判断されると、「特定空き家」に指定されます。

 

通常、建物が建っている住宅用地の固定資産税は1/6に軽減されますが、「特定空き家」に指定されると軽減措置が適用されません。つまり、「特定空き家」に指定されると固定資産税が6倍になってしまいます。

 

空き家を長期間放置していることは税金面でもデメリットがあります。

 

 

 

 

||空き家の処分方法||

 

自ら居住するか、第三者に貸して賃料収入を得るなどして、税金や管理の責任を少しでも軽くしたいものですが、そうでなければ負担が増えます。

 

空き家を処分するために、5つの方法があります。

 

・第三者に譲渡

・相続放棄をする

・自治体や法人に寄付をする

・空き家バンクの活用

・売却を検討

 

 

第三者に譲渡

 

手放したい空き家がまだ住める場合は、第三者に譲渡するなどの選択肢があります。

 

そのエリアで住む家を探している人や、賃貸経営をしている人など、その物件を欲しいという人がいる場合は、無償で譲渡することもできます。

 

 

 

相続放棄をする

 

空き家状態の不動産を相続することになった場合、その権利を放棄することもできます。

 

相続放棄の手続きは、相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申請が必要です。

 

また、相続放棄をすると全ての財産に対しても、相続権を失います。特定の財産だけを相続放棄することはできないのです。その点は注意が必要です。

 

不動産の資産には、税金や管理責任があるため、相続放棄をすると親族に影響ができる場合があります。事前に関係者の了承を得ることも大切なポイントです。

 

 

 

自治体や法人に寄付をする

 

自治体が空き家の寄付を受けてくれる場合、公園や公民館、防災倉庫などとしての利用が考えられます。また、法人が寄付を受付けてくれる場合は、駐車場や倉庫用地としての利用が挙げられます。

 

ただし、固定資産税は自治体にとって貴重な収入源です。自治体にとって固定資産税の収入を上回る利用価値がないと判断されると、寄付を受付けてもらうことは難しいでしょう。

 

 

 

空き家バンクの活用

 

国や各自治体による空き家対策の1つである、空き家バンクに登録することも選択肢の1つです。空き家バンクは、自治体が空き家情報を提供するサービスです。

 

空き家の所有者が情報を登録し、借り手や買い手が気になる空き家を探します。

 

増え続ける空き家は、地方自治体にとっても問題で、景観の悪化や犯罪のリスクが増えるだけではなく、住宅が存在していても住民税が徴収できないなど、地域経済の膠着を招きます。

 

通常の不動産仲介会社は営利目的のため、築年数が古い・駅から離れているなどの売れにくい物件が不動産広告に載るケースは少ないといえます。

 

一方、自治体が運営する空き家バンクは社会問題の解決や地域活性を目的としているため、営利目的ではありません。そのため、築年数が古い物件や駅が遠い物件も掲載されており、田舎で暮らしたい人やセカンドハウスを探している人などのニーズに対応しています。

 

 

 

売却を検討

 

先述した第三者への譲渡や相続放棄、自治体への寄付の場合、基本的に所有者の手元にはお金が残りません。

 

一定の利用価値がある物件の場合、建物が古くても価格を安くしたり荷物を片付けて見栄えを良くしたりすれば、買い手がつく可能性もあります。

 

空き家の期間が長引くほど建物の劣化が進み、市場価値は下がってしまうため、なるべく早く売却に踏み切ることが大切です。

 

 

 

 

||売れにくい空き家の特徴||

 

 

空き家は、まずは売却を検討するのがおすすめですが、なかなか買い手が見つからないこともあります。

 

特に相続した空き家の場合、相続税の納付期限(相続開始の10ヶ月後)までに売却できなければ、相続税の納付が間に合わなくなるリスクもあるため注意が必要です。

 

以下のような特徴がある空き家は、売れにくい傾向にあります。

 

・立地に問題がある

・市街化調整区域内である

・権利関係に問題がある

・再建築不可である

 

 

 

立地に問題がある

 

どれほど立派な家だとしても、立地条件が悪い物件はなかなか買い手が見つからないことが多いです。

 

例えば駅から遠い場所や、災害リスクなどが高い場所の場合は買い手が見つかりにくいと言えます。

 

立地が理由でなかなか売れない場合は、価格を下げるなどの対策も検討しましょう。

 

 

 

市街化調整区域内である

 

都市計画法によって各地方自治体は「市街化区域」と「市街化調整区域」を指定しています。 市街化区域は、市街化を促進していく地域のことで、より便利になるように道路やライフラインなどの整備が積極的に実施されます。

 

一方、市街化調整区域は、市街化を抑制する地域のことを指し、住宅や商業施設の建設は原則として認められません。

 

先祖代々の土地で親族の近くに住む場合など、自治体に申請して特別に認められるケースもありますが、第三者が購入した場合は建物を建築できない可能性が高いといえます。

 

そのため、市街化調整区域にある物件の買い手を見つけることは非常に困難です。

 

 

 

権利関係に問題がある

 

権利関係に問題が生じている物件とは、「所有者が多数いる物件」や「所有者が分からない物件」などが挙げられます。

 

共有名義の不動産は、共有者全員の合意がなければ売却できません。相続登記が未了のまま数世代放置された物件のなかには、権利者をたどると数百人に及ぶ「メガ共有」と呼ばれる物件もあります。

 

このような物件は、まず「所有者全員のリスト」を作成し、それぞれに遺産分割協議書を作成して所有者全員に売却に合意してもらわなければなりません。そのため、解決までに何年も時間がかかってしまうこともあります。

 

共有名義不動産専門の買取業者に自分の持分だけを売却することも可能です。しかし、市場価格よりも極端に安くなったり、買取を断られたりすることもあります。

 

 

 

再建築不可である

 

再建築不可物件とは、建築法上の道路の面していないなどの理由で、建物の建て替えができない物件のことを指します。

 

市街化調整区域にある物件は、基本的に再建築ができません。また、市街化区域であっても建築基準法の定める「接道義務」を果たしていなければ再建築が困難です。

 

具体的には、幅員4m以上の道路に2m以上接道していない物件は再建築不可物件となり、市場価格が著しく下がる傾向にあります。

 

再建築不可であっても不動産の取引自体は可能です。しかし、住宅ローンを借りられないなど大きなデメリットがあるため、やはり価格は著しく安くなる傾向があります。

 

さらに、既に建物が老朽化している場合、買い手を見つけることは非常に困難です。

 

 

 

 

||売れない時の対策||

 

 

なかなか空き家が売れない場合、対策として以下のようなことが挙げられます。

 

・必要箇所をリフォームして売却

・空き家を更地にして土地を売却

・相場より低い売却価格を設定

 

 

 

必要箇所をリフォームして売却

 

家財道具の処分とハウスクリーニング、水回りを中心とした生活の汚れを綺麗にするだけでもかなり印象は良くなるでしょう。

 

また、外壁や屋根を補修しておくと、耐久性も第一印象も良くなります。水回りの交換やクロスの張り替え、床材の張り替えなど、やればやるほど印象は良くなります。

 

注意したい点は、かかったリフォーム代の分だけ高く売れるわけではないということです。

実施する前に不動産会社に相談すると良いでしょう。

 

 

 

空き家を更地にして土地を売却

 

空き家を更地にして売却するか、古家付き土地として売却するか、どちらが良いかは売れる価格によって異なります。

 

建物自体に価値があるケースや再建築不可物件、査定価格よりも解体費用のほうが高くなる場合などは、古家付き土地として売却したほうが良いでしょう。

 

それに対して、建物の耐震性が低い場合や老朽化して景観が悪い場合、維持管理が難しい場合などは更地にしたほうがスムーズに売却できることがあります。

 

注意点としては、建物を解体してしまうと土地にかかる固定資産税の軽減措置が適用されなくなるため、固定資産税がそれまでの6倍になってしまいます。

 

したがって、解体費をかけて更地にしても売れるかどうか分からない場合には、おすすめできません。

空き家を解体して更地にすることで、スムーズに売れると見込める場合には検討することをおすすめします。

 

 

 

相場より低い売却価格を設定

 

空き家の状態や立地条件などによっては、売却価格が高いと購入検討者が現れにくくなります。

 

相場より安い価格設定にすることで購入者にとって魅力的な物件となり、売却のチャンスが増えるでしょう。

 

ただし、価格設定を下げる際は、適切な金額を見極めることが重要です。

 

空き家を売却する際の損益も考慮する必要があるため、適切に価格設定するためにも、不動産会社と相談することがおすすめです。

 

 

 

いかがでしたか。

 

空き家を手放すにあたっての方法や対策をまとめました。

 

それぞれ、ケースバイケースなところもあるため、詳細はプロの不動産屋に相談してみることをお勧めします。