2025年度税制改正大綱 住宅ローン減税

2025年01月18日

今回は、この税制改正大綱および国土交通省が公表した2025年度国土交通省税制改正概要をもとに制度について説明します。

 

 

2024年12月20日、与党が2025年度税制改正大綱を発表しました。

 

もともと2022年度税制改正により2022年~2025年の入居の場合に適用される「住宅ローン減税」の制度が決定されましたが、

 

・住宅価格

・物価上昇への対応や子育て

・少子化対策を重視する政策等もあり、2024年入居の場合に適用される制度の内容に追加の改正がなされました。

 

これに続き、2025年度税制改正として、2025年入居の場合に適用される制度についても2024年入居の場合と同様に改正されることとなります。

 

それでは、見ていきましょう。

 

 

||新築住宅の取得に係る住宅ローン減税(2022年~2025年入居)||

 

 

住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高(所定の借入限度額を上限)に控除率(一律0.7%)を乗じた額について、所得税(住民税)から税額控除される仕組みです。

 

適用対象者の所得要件(収入ではなく合計所得金額の要件)は、2,000万円以下とされています。

 

税額控除額=年末時点の借入残高(借入限度額を上限)×控除率0.7%

控除期間にわたり、毎年税額控除

 

 

では、新築住宅取得の場合の「借入限度額」を確認しましょう。

 

 

⚫︎借入限度額

 

長期優良住宅・低炭素住宅

2022年~2023年入居:5000万円

2024年~2025年入居:4500万円 ※子育て等世帯5000万円

 

 

ZEH水準省エネ住宅

2022年~2023年入居:4500万円

2024年~2025年入居:3500万円 ※子育て等世帯4500万円

 

 

省エネ基準適合住宅

2022年~2023年入居:4000万円

2024年~2025年入居:3000万円 ※子育て等世帯4000万円

 

 

その他の住宅

2022年~2023年入居:3000万円

2024年~2025年入居:-

 

 

以上のように、2024年以降に建築確認を受ける新築住宅については、省エネ基準への適合が住宅ローン減税の要件とされ、これに適合しない「その他の住宅」については住宅ローン減税が受けられません。

 

2050年カーボンニュートラルの実現の観点から、認定住宅(認定長期優良住宅および認定低炭素住宅)、ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅および省エネ基準適合住宅について、それぞれ借入限度額が上乗せされる仕組みです。

 

また、2024年・2025年入居の場合、「子育て等世帯(「19歳未満の子を有する世帯」(子育て世帯)または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」(若者夫婦世帯))」かどうかにより、借入限度額が異なってきます。

 


⚫︎控除期間について

 

入居後、何年間にわたって住宅ローン減税の税額控除が受けられるかという期間です。

新築住宅については13年間となります。

 

 

⚫︎住宅の床面積基準について

 

床面積は50㎡以上が適用要件であり、ここにいう床面積は登記される面積を指します。

 

なお、40㎡以上50㎡未満の新築の住宅で、2025年12月31日までに建築確認を受ける住宅であれば適用対象となりますが、この場合は、控除期間のうち、所得税の合計所得金額が1,000万円を超える年は住宅ローン減税による控除が適用できないという制限がつきます。

 

 

2025年度税制改正により改正される対象は次のとおりです。

 

(1)借入限度額


2025年入居の場合も2024年入居の場合と同様に、2022年~2023年入居の場合に比して各区分の借入限度額がそれぞれ引下げられることととなっていましたが、「子育て等世帯(子育て世帯または若者夫婦世帯)」(※1)を対象として借入限度額が維持されるよう改正されます。よって、子育て等世帯は借入限度額が引上げられます。

 

 

(2)床面積基準


40㎡以上50㎡未満の新築の住宅の場合、「2024年12月31日まで」に建築確認を受ける住宅であれば適用対象となるものとされていましたが、「2025年12月31日まで」とされ、緩和措置が延長されました。(所得要件1,000万円以下については変更なし)

 

 

 

 

||中古住宅の取得に係る住宅ローン減税(2022年~2025年入居)||

 

 

中古(既存)住宅の取得についても、住宅ローン減税による控除税額の算式は新築住宅の取得の場合と同様に次のとおりです。

 

税額控除額=年末時点の借入残高(借入限度額を上限)×控除率0.7%

→控除期間にわたり、毎年税額控除

 

 

⚫︎中古(既存)住宅の取得の場合

 

算式のうち、借入限度額は2,000万円、控除期間は10年間となります(適用対象者の所得要件は新築住宅の場合と同様、2,000万円以下とされています)。

 

つまり、最大年間14万円(=2,000万円×0.7%)、10年間で140万円までの控除を受けることができます。

 

なお、取得した住宅が

・長期優良住宅・低炭素住宅

・ZEH水準省エネ住宅

・省エネ基準適合住宅

 

のいずれかに該当する場合は、この借入限度額が3,000万円に引き上げられます。

 

住宅ローンの年末残高が高い場合はより有利に税額控除を受けられることとなっています(10年間で最大210万円)。

 

これに対し、2024年以降入居の場合、

「買取再販住宅(宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住用家屋」

 

であって、かつ

 

・長期優良住宅・低炭素住宅

・ZEH水準省エネ住宅

・省エネ基準適合住宅

 

のいずれかに該当する場合は下記の通り、さらに借入限度額が引上げられます。

 

また、この場合の控除期間は、下記のいずれの場合も13年間(通常より3年間伸長)となります。

 

リノベーション物件のうち、特に省エネ改修工事により所定の省エネ水準であることが確認された物件等の取得の場合、住宅ローン減税をよりお得に適用できるようになっています。

 

 

⚫︎買取再販住宅の借入限度額

 

長期優良住宅・低炭素住宅

2022年~2023年入居:5000万円

2024年~2025年入居:4500万円 ※子育て等世帯5000万円

 

 

ZEH水準省エネ住宅

2022年~2023年入居:4500万円

2024年~2025年入居:3500万円 ※子育て等世帯4500万円

 

 

省エネ基準適合住宅

2022年~2023年入居:4000万円

2024年~2025年入居:3000万円 ※子育て等世帯4000万円

 

 

 

 

||他 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置||

 

 

上記の住宅ローン減税のほかにも非課税措置が取られています。

 

・直系尊属(父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用については2024年度税制改正において措置されました。(2025年度税制改正の対象ではありません。)


・2024年度税制改正により、贈与税の非課税措置の制度が3年間(2024年~2026年まで)延長され、非課税限度額が500万円(耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅は1,000万円)となりました。
なお、この非課税限度額が1,000万円に上乗せされる住宅の要件は、

 

(1)耐震等級2以上または免震建築物(耐震)

(2)断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(省エネ)

(3)高齢者等配慮対策等級3以上(バリアフリー)のうち、いずれかに該当するもの

 

とされています(2024年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について)。よって、住宅ローン減税における「ZEH水準省エネ住宅」の区分であれば、(2)の省エネの要件による非課税限度額の上乗せが適用されることとなります。

 

 

以上、住宅ローン減税を中心に、現行の制度に対し2025年度税制改正の動向を踏まえた税制の概要について説明させていただきました。

 

住宅ローン減税は住宅取得において必ず活用すべき制度であるため、ぜひ本情報を今後に活かしていただきたいと思います。